「カウンセリングで断りきれず契約をしてしまった」
「契約書を確認したら、思っていたのと違った」
「契約をして家に帰ったら、家族に反対された」
つい勢いで脱毛の契約をしたけれど、帰ってから「やっぱりやめておけば良かった」と後悔することがあるかもしれません。そんな時に利用できるのがクーリングオフです。
今回は、クーリングオフの条件と手順、書面の書き方や適用されなかった場合の対処法など、脱毛をクーリングオフで解約する方法について詳しくご紹介します。
お品書き
クーリングオフって一体何?
通常、一旦成立した契約は一方的に解除することはできません。
しかし、強引な勧誘や十分な時間を与えられずに行った契約まで必ず守らなければならないとなると、消費者はとても不利な立場になってしまいます。
そのため、契約をした後もう一度頭を冷やして考え直し(cooling-off)、一方的に無条件で契約を解除することができる制度があります。これがクーリングオフ制度です。
クーリングオフは特定商取法によって認められている取引に適用されます。一例として、訪問販売や電話勧誘販売、保険契約など様々なものがありますが、サロンやクリニックで行う脱毛もクーリングオフが認められています。
医療脱毛は、以前クーリングオフが認められていませんでしたが、2017年12月以降の契約においては認められるようになりました。
クーリングオフができる条件とは?
クーリングオフをするためには、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 契約期間が1ヶ月を超えるもの
- 契約金額が5万円を超えるもの
- 契約日から8日以内であること
この条件さえ満たせば、理由は何であれ契約を解除することができ、支払った金額を全額返金してもらえます。
例えば、都度払いや体験脱毛などは、たとえ金額が5万円を超えていたとしても、契約期間が1ヶ月を超えてはいないためクーリングオフの対象とはなりません。
ワキなど部分脱毛のコースのように、契約期間が1ヶ月を超えていても金額が5万円に満たないようなものも対象とはならないので注意してください。
月額制は、月々の負担を少なく脱毛をすることができるプランで、契約期間も特に決まっていないため、やめたい時にいつでもやめることができるというメリットがあります。
通う限り月々の支払いは続くものの、習い事の月謝と同じで都度払いと変わりありません。ひと月の支払いが5万円を超えることもなく、クーリングオフは適用されません。
ただし、月額制の中には決まっている総額を分割で支払う「分割タイプ」の月額制もあります。
分割タイプの月額制は契約回数も決まっており、総額が5万円を超えることも多く、クーリングオフが適用されることも。
月額制は、タイプによってクーリングオフができる場合とできない場合があるので、注意してくださいね。
クーリングオフは、契約日から8日以内に行わなければなりません。
この時の契約日とは、特定商取引法で「法律で定められた書面を受け取った日」としています。つまり、契約書を受け取った日が契約日となるので、「契約書は後日郵送」などといった場合は、手元に契約書が届いた日からカウントすればOKです。
また、8日を数える際には、契約日を「1日目」とみなします。
例えば、6月1日に契約をした場合、6月8日がクーリングオフの期限となります。単純に8日を足した6月9日ではないので、期限切れにならないように注意しましょう。
ちなみに、クーリングオフは発信したら効力が生じます。クーリングオフ期間内に書面を発信、つまり上記の例でいうと8日目までの消印であればOK。
クーリングオフ期間内にサロンやクリニックに届かなくても問題ありません。
クーリングオフの方法と手順
クーリングオフの方法はとっても簡単!手順は次の通りになります。
- サロン・クリニックの契約書を準備する
- 契約を解除する旨の書面を作成する
- 作成した書面のコピーを取る
- 書面をサロンまたはクリニックに送る
「事前にサロンやクリニックに連絡しなくてもいいの?」と思うかもしれませんが、特別に伝えたいことがない限りは連絡する必要はありません。いきなり書面を送ってOKです。
悪質な業者の場合は連絡をすると引き止めなどに合う可能性もあるので、事前に送ってしまってからのほうが安心です。
クーリングオフの書面は、ハガキでも便箋でもどちらでもOKです。書面には次の項目を記載するようにしてください。
・「契約解除通知書」というタイトル
・契約年月日
・商品名(契約コース・プラン名)
・契約金額
・販売会社(サロン・クリニック名、支店名、担当者名)
・クレジット会社名(クレジットカードで支払った場合のみ)
・銀行、支店、口座番号(現金で返金を受ける場合のみ)
・発信日
・自分の住所、氏名
・契約解除の旨
現金で既に支払い済みの場合は、返金依頼の旨と口座情報も併せて記入してください。書面の受領後、サロン・クリニックから指定口座への返金があります。
クレジットカードで支払った場合は、返金依頼の旨や口座情報は特に記載する必要はありません。
トラブルを避けるため、記入後は必ず宛先含め、表裏面ともコピーを取っておくようにしてください。
支払いがクレジットカードの場合、クレジットカード会社への連絡は必ず必要というわけではありません。
例えば、大手クレジットカード会社の「JCBカード」「三井住友カード」では、クーリングオフ時の対応を次のように定めています。
クーリングオフはお客様がお店に対して行なう手続きであり、カード会社に申し出をしてカード会社が売上を取り消しすることではありません。
そのため、クーリングオフ期間内に特定記録郵便や簡易書留でお店に通知をしている場合は、カード会社に通知書を送る必要はありません。
なお、お店の対応に不安な場合は、カード裏面に記載のカード発行会社にお送りください。
引用元:JCBカード
お客さまから弊社への連絡は必ずしも必要ではございませんが、お店(ご契約先)に通知した書面のコピーを弊社へお送りいただければ、該当のカード売上の取り消しを確認いたします。
引用元:三井住友カード
サロンやクリニックの対応に不安を感じる場合は、念のためにクレジットカード会社へも書面を送っておくと良いでしょう。
クーリングオフの書面は、発信の記録がしっかりと残る「特定記録郵便」または「簡易書留」「一般書留」で送ることをおすすめします。
配達方法 | 特徴 |
---|---|
特定記録郵便 | ・発信日が証明される ・郵便追跡サービスの利用可能 ・郵便受箱に配達 ・受取人の受領印なし |
簡易書留 一般書留 |
・発信日が証明される ・郵便追跡サービスの利用可能 ・直接手渡し ・受取人の受領印あり |
簡易書留と一般書留の違いは、損害賠償の額、また、一般書留の方がより細かく郵便物を追跡できる点(どの郵便局を中継したかなど)にあります。
このような発信日の証明が残る郵便を利用すれば、ポストに投函するよりも安全です。さらに書留は手渡しなので、確実に相手が受け取ったどうか分かります。
「書面のコピーも取ったし、書留で送ったから大丈夫!」と思っていても、悪質な業者にあたり「本当にそんな内容が書いてあったの?」と難癖を付けられ、クーリングオフができないなどといったトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
不安な方は、更に証明の効力が強い「内容証明」で送ることをおすすめします。
内容証明は、一般書留に付属して付けることのできるサービスです。「いつ誰に送ったか」「相手にいつ届いたか」という情報だけでなく、「どんな内容の文書を送ったか」までが記録として残るので、絶対的な効力となります。
内容証明は次のものを郵便局の窓口に提出する必要があります。
- 送付する書面
- 送付する書面の謄本2通(差出人と郵便局が保存するもの)
- 封筒(差出人・受取人の住所指名を記載)
送付する書面には字数制限がありませんが、謄本は字数・行数ともに制限があります。
多少面倒に感じるかもしれませんが、内容証明は確実に記録を残したい人にはおすすめ。特に次のような人は、内容証明付きの郵便で送付するほうが安心でしょう。
- 契約金額が高額
- 既に現金で支払い済み
- 契約時の勧誘が強引だった
- 説得を断る自信がない
- サロン・クリニックが信用できない
少しでも不安を感じる人は、保険だと思って内容証明郵便を選ぶと良いでしょう。
こんな時はどうしたら良い?クーリングオフQ&A
電話でのクーリングオフは、トラブルが起こるリスクが高いため避けるようにしましょう。
良心的なサロンやクリニックであれば、書面を提出しなくても電話連絡するだけでOKとするところもありますが、過信はとても危険です。
電話での申し出は、何の証拠も残りません。クーリングオフの電話をしたはずなのに、「聞いていない」と言われてしまう可能性も。
また、激しい引止めや担当者の不在などを理由に引き伸ばし、気付いたらクーリングオフ期間を過ぎてしまうこともあるかもしれません。
「言った」「言わない」の水掛け論にならないためにも、クーリングオフは必ず書面で行うようにしてください。電話連絡が必要な場合でも、まず先に書面を提出しておけばトラブルに巻き込まれることもありませんよ。
すでに施術を受けている場合でも、「契約期間が1ヶ月を超えるもの」「契約金額が5万円を超えるもの」「契約日から8日以内」の3つの条件を満たせばクーリングオフが適用されます。
例えば、全6回・総額15万円の全身脱毛コースを契約し、契約当日に1回目の施術を受けてしまったとしても、クーリングオフをすれば総額15万円全てが返金されます。
ただし、同時に購入した化粧品などを既に使用してしまった場合、使用済みのものに関してはクーリングオフの適用外となり返金を受けることはできません。未使用の場合は、速やかに返品するようにしてください。
ちなみに、化粧品だけでなく入会金など施術以外でかかった費用もクーリングオフの対象となります。
返金の流れは、現金で支払っているか、クレジットカードで支払っているかによって異なります。
現金で支払っている場合、一般的なサロン・クリニックでは、クーリングオフの書面が受理されてから2~3週間後には指定口座に振り込みを行います。長いところでも1ヶ月程度で対応をすることがほとんどです。
もし、いつまでたっても返金がされない場合は、サロン・クリニックに確認をするようにしてください。
また、クレジットカードで支払っている場合、締め日前であれば売上をキャンセルする事もできますが、締め日を過ぎた場合などタイミングによっては、一旦支払った後に返金を行うこともあります。
いずれの場合も、返金を直接現金で行うことはありません。
クーリングオフを受理した後は、消費者に速やかに返金しなければならないと法律で定められています。
しかし、返金を渋ったり、クーリングオフの通知自体を無視する悪質なサロン・クリニックもないとは限りません。
万が一「トラブルに巻き込まれたかも?」と思った時は、消費生活センター(消費者ホットライン:局番なしの188)に相談をしてみましょう。
また、「契約の際に事実と異なることを言われた」などといった場合、クーリングオフ期間を過ぎても契約自体を取り消すことができるケースもあります。
「このケースはどうだろう?」と気になった時は、一度消費生活センターに相談することをおすすめします。
一度クーリングオフした場合、再契約できるかどうかはサロン・クリニックによって異なりますが、ほとんどの場合際契約をすることが可能です。
ただし、再契約にはデメリットもあります。
まず、初回特典や初回限定コースなど、初めての利用者に限るサービスを受けることはできません。さらに、再契約となると医療ローンの審査が厳しくなる可能性もあります。
また、スタッフもプロですが、1人の人間です。一度クーリングオフを行使したサロン・クリニックで施術を受けることは、スタッフ側から見ると心象的にもあまり良いとは言えないかもしれません。
様々なデメリットがある事を踏まえ、同じサロン・クリニックでの再契約を検討することをおすすめします。
クーリングオフが適用されない場合は「中途解約」で契約を解除できる!
「クーリングオフの期間が過ぎてしまった」などクーリングオフが適用されなかった場合は、契約の有効期限内であれば中途解約で契約を解除することが可能です。
中途解約ではクーリングオフのように支払ったお金が全額返ってくることはほぼありません。返金対象となるのは未施術分の金額で、なおかつ解約には手数料がかかることがほとんどです。
特定商取法では、中途解約時の手数料の上限を次のように定めています。
- 未施術:2万円
- 施術済:2万円または契約残額(未施術分)の10%に相当するいずれか低い方
- 未施術:2万円
- 施術済:5万円または契約残額(未施術分)の20%に相当するいずれか低い方
上記はあくまで上限なので、サロン・クリニックによって手数料はさまざまです。
中には、解約手数料が掛からない良心的なサロン・クリニックもありますが、実際は手数料がかかるところがほとんどなので、あまり期待をしない方が良いでしょう。
手数料が掛かっても解約できるのは安心ですが、契約金額が大きくなれば中途解約の負担も大きくなります。なるべく中途解約は行わないように、契約は慎重に行ってくださいね。
クーリングオフが必要ないサロン・クリニック選びをしよう!
脱毛の契約をした後、帰ってから「やっぱりやめておけば良かった」と思う可能性は誰にでもあります。そんな時でもクーリングオフを利用すれば、契約自体をなかったことにできるので安心ですよね。
ただし、クーリングオフはサロン・クリニックとトラブルになる可能性がゼロではありません。
注意点として、「言った」「言わない」といった水掛け論にならないように、書面はコピーをとり、特定記録郵便や簡易書留で発信の記録をしっかりと残しておくようにしましょう。また、少しでも不安を感じる時は、内容証明で送ることも検討してください。
クーリングオフは手続きも簡単ですが、本来であればしないのが一番です。
サロンやクリニックが自分に合うかどうかしっかり考えてから、契約をするようにしてくださいね。